修繕費の経費は上限が決められている|資本的支出との違いは?

事業に使用しているマンションやビルなど不動産物件の修繕工事を行った場合、支出金額は一般的に経費として計上します。事業にかかった経費は法人税で課税されないため、修繕費を経費に計上できれば節税が可能です。

しかし、修繕費の全額が経費として勘定科目に含められるとは限りません。修繕する目的やかけた金額によっては、資本的支出として経費に計上できない可能性もあるため、事前に把握しておきましょう。

この記事では、修繕費の上限に関して解説します。修繕費と資本的支出の違いや判断方法も解説するため、修繕を考えている方は参考にしてください。

1.修繕費が経費になると税金が抑えられる

事業用の固定資産を修繕する場合、修繕費が経費として認められると節税することができます。会社が納める法人税は、収益から経費を差し引いた残りの金額に課税されるためです。

しかし、修繕費は経費として認められるケースと、認められないケースがあります。マンションやビルの修繕費は高額になりやすいため、どのようなケースであれば経費に計上できるのかを知っておきましょう。

1-1.修繕費が経費として認められるケース

修繕費が経費として認められる場合は、主に以下のケースがあります。

◯「原状回復」や「維持管理」のために費用が発生した場合
原状回復や維持管理とは、固定資産の資産価値を落とさないために行う修繕工事です。建物での具体例を挙げると、下記のような工事が原状回復・維持管理に該当します。

  • 外壁にできたクラックの補修
  • 割れたガラスの交換
  • 破損した床材の交換
  • 建物維持のため行う外壁塗装

◯災害などで破損した固定資産を回復するために費用が発生した場合
台風や水害などにより固定資産が破損して、原状回復のために修繕が必要となった場合、修繕費は経費として計上できます。台風によって窓が割れた・浸水したなどの理由による修繕が、災害時における原状回復の一例です。
また、被災した固定資産の排水や土砂崩れ防止にかけた費用も経費として計上できます。

基本的に建物の価値を維持し、従来通りに使用するための修繕工事であれば、経費として認められると考えて問題ありません。

1-2.修繕費が経費として認められないケース

一方、修繕費が経費として認められないケースは、固定資産の資産価値や性質を変える修繕工事が行われた場合です。以下のようなケースでは、修繕費が経費として認められなくなります。

◯「原状回復」ではなく、価値を向上させるために費用が発生した場合
固定資産の原状回復ではなく、価値を向上させるために修繕工事を行った場合、発生した修繕費は経費として認められません。資産価値を向上させるための修繕工事は、原状回復・維持管理に該当せず、資本的支出として区分されるためです。

下記のような修繕工事にかかる費用は経費として計上できず、資本的支出となります。

  • 避難階段やスプリンクラーの取付けなど、物理的に新設した設備の費用
  • リフォームでの模様替えや間取り変更など、改造・改装にかけた費用
  • 機械の部分品を明らかに高性能なものへ取り替えた場合に、通常の取り替えに比べて超過した費用

また、資本的支出とみなされた工事費用は、支払った年度の費用として計算されません。費用計算は減価償却資産と同様に行い、耐用年数の期間に応じて減価償却する必要があります。

出典:国税庁「No.1379修繕費とならないものの判定」

2.「修繕費or資本的支出」の判断方法

修繕工事にかかった費用が修繕費として経費に計上できるのか、資本的支出となるのかという判断は難しく、区別できない方も少なくありません。修繕費・資本的支出のどちらに該当するのか判断が難しい場合は、以下に挙げる①~⑥の流れで判断しましょう。

  • ①修繕費用が20万円未満
    20万円未満で行った修繕工事の場合は、修繕費となります。
  • ②修繕周期が3年以内
    20万円以上の修繕工事であっても、修繕周期が3年以上の場合は基本的に修繕費です。ただし、価値を向上させる工事の場合は資本的支出とみなされます。
  • ③修繕する目的が通常の維持管理や原状回復である
    維持管理や原状回復のためにかかる工事費用は、修繕費です。
  • ④修繕費用が60万円未満
    ③の段階で判断できない場合、費用が60万円未満であれば修繕費にできます。
  • ⑤修繕費用が、固定資産の前期末取得価額に対して10%以下である
    ④で60万円を超えている場合、修繕費用と前期末取得価額を比較しましょう。前期末取得価額とは、固定資産を購入した価額と、前期末までの資本的支出の合計です。修繕費用が前期末取得価額の10%以下であれば、修繕費にできます。
  • ⑥継続して経理している場合は7:3基準で判断する
    ⑤で10%以上の場合は、継続して修繕費で経理していることを要件として、7:3基準で判断します。7:3基準とは、修繕費用の30%相当額と、前期末取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費とする処理です。
    7:3基準により修繕費として処理できない残りの修繕費用は、資本的支出となります。

3.判断が難しい場合の実例を紹介

建物の修繕工事を行った場合、修繕費・資本的支出のどちらに当てはまるのか、判断が難しいケースもあるでしょう。以下では判断が難しい場合の実例を紹介し、判断基準のポイントを説明します。

◯外壁に使うペンキの質が向上していた場合
原状回復や維持管理のために行う外壁塗装工事は、かかる費用が60万円以上であっても修繕費に一括して計上できます。しかし、外壁塗装に使うペンキの質が向上していた場合は、価値を向上させる目的として資本的支出とみなされないか、気になる方も多いのではないでしょうか。

実際には、外壁に使うペンキの質が向上した場合でも、修繕費として問題なく認められます。外壁塗装は建物を守るための外壁工事であり、ペンキの質が向上し外壁の耐久性がアップしたとしても、資産価値が明らかに向上する性質はないためです。

◯蛍光灯を古いものからLEDランプに切り替えた場合
蛍光灯を古いものからLEDランプに切り替える場合、建物の規模や工事内容によっては高額な費用がかかります。しかし、LEDランプへの切り替えにかかる費用は修繕費です。

蛍光灯からLEDランプに切り替えると、照明としての寿命が伸び節電効果も期待できるため、資本的支出になると考える方も多いでしょう。しかし、蛍光灯やLEDランプはあくまでも照明設備の一部分であり、LEDランプに切り替えたことで建物の資産価値が高まるとはいえません。そのため、蛍光灯からLEDランプの切り替えは全額が修繕費となります。

4.マンション・ビルの修繕はブランコマンへの依頼がおすすめ

固定資産の修繕では、修繕内容によって修繕費として認められるかを考えるだけでなく、質の高い修繕工事が行える施工業者を選ばなくてはなりません。マンションやビルの修繕を行う場合は、ブランコマンに依頼することがおすすめです。

ブランコマンはマンション・ビルをはじめとして、さまざまな建物の修繕工事に関する豊富な実績があります。工事は自社受注・自社施工・自社仕様書にこだわっており、無駄が少なくコストパフォーマンスの良さが魅力です。工事完了後には工事保証書が作成され、保証内容に沿って定期的なメンテナンスを行うなど、アフターサービスも充実しています。

ブランコマンでは質の高い修繕工事を行うために、社長や専務による最終チェックが入ることも特徴です。施工過程は写真として記録され、経営者であり職人でもある社長や専務が最終チェックを行うことで、高い品質の修繕工事を実現しています。

修繕工事を安心して任せられる施工業者を探している方は、質の高い工事に取り組んでいるブランコマンに依頼しましょう。

まとめ

今回は、修繕費の上限に関して、修繕費と資本的支出の違いや判断方法などを解説しました。

修繕工事にかかる修繕費は、経費として計上すると税金が抑えられます。ただし、経費に計上できる修繕費は、原状回復や維持管理にかけた費用である点に注意しましょう。
資産価値の向上を目的とした工事でかかる費用は資本的支出です。修繕費・資本的支出の判断が難しい場合は、信頼できる施工業者へ依頼する際に、修繕費について質問してみましょう。

ビル・マンションの修繕は、高い工事品質と豊富な施工実績があるブランコマンへの依頼がおすすめです。