当コラムをご覧の方は、管理会社さまから提出された大規模修繕の見積書をご確認されているかと思います。事前に相談も無く非常に高額な見積金額を見せられ、「はいそうですか。」と納得は出来ないでしょう。「そもそもなぜ大規模修繕が必要なのか?」非常に気になる部分かと思いますので、
その部分をまずは掘り下げていきます。
大規模修繕の定義とは?
大規模修繕の実施義務というのは実は法的に定められされているものでは無く、「大規模の修繕、大規模な模様替」とはどのようなものを表すかを定めていることと、
建物における事故や火災を防ぐことを目的とした各種の定期報告義務の2点が建築基準法で定められているにとどまっています。
その定期報告が必要なものの中で大規模修繕におけるポイントとなるのが
平成20年の定期報告制度の変更により義務化されたタイル外壁の調査です。
これはタイルの落下による危険を防ぐ目的で義務付けられているもので、所定の資格を持つものが、10年に一度全てのタイルの打診調査を行い担当省庁へ報告を行う必要が有るのです。
しかしこの報告義務については、3年以内に大規模の修繕を行う場合には免除する事となっています。
大規模修繕を行う理由
この定期報告義務踏まえた上で、大規模修繕を行う理由を解説していきます。
法律によって、10年での外壁確認義務がある、3年以内に大規模の修繕を行うならばそれを免除する・・・ということは、最大でも新築から13年で何らかの対策が必要となる事となります。
この際、打診調査のみの実施でももちろん問題ないのですが、実際には打診調査においても相応の費用ががかかりますし、場合によっては足場を組んで、全壁面を調査することにもなります。
足場を掛ければ、必然的に大掛かりな工事になってきますし、調査だけ、交換だけ、と言うのは合理的では無くなってきます。
というわけで、生活者のストレスや金額の問題などを天秤に掛けた結果。各種の調査と修繕は同じタイミングで行って行なってしまおう、という流れが起き、結果として大規模修繕となっていきます。
今回のポイント
・大規模修繕は法律による義務では無い。
・タイル外壁の調査と報告は10年に一度行う義務が有る。
・結果として、大規模修繕となっていく