今回はタイル補修について説明します。
現在建てられているマンションやビルで、比較的最近のものの外壁は、タイル張りが多いです。タイル外壁はメンテナンスや見た目など、さまざまな理由から選ばれた外壁なのです。今回はタイルの特徴や大規模修繕におけるタイル補修の方法などを詳しく書かせていただきます。
タイル外壁の特徴
なぜタイル張りが多く使われているのでしょうか。
タイル張りのメリットとしては「メンテナンスが比較的少なくて済むところ」と、タイル張りの住宅の持つ「高級感や美しさ」です。
メンテナンスが少なくて済むというのは、タイルの素材に使われている石や陶器の性質上、年月による劣化を受けにくいのです。また、日差しや風雨、汚れや傷にも強いという性質も持っています。
また、タイル張りにすることで、外壁に立体感がうまれ、整然とした美しさと高級感をマンションに演出してくれます。
とはいえ、どんなタイルもマンションの時間の経過とともに傷みます。10年に1度はメンテナンスしておきたいですね。
今回はそんなタイル外壁の補修のお話です。
タイルのメンテナンスを行わないと、タイルが剥離し落下することがあります。それが通行人に当たるというニュースを時々耳にします。ゆえに、大規模修繕工事の重要項目です。
大規模修繕工事ではタイル外壁の一番の悩みである、「タイル浮き」の点検が主な工事となります。
タイル補修工事の内容
タイルの浮きのチェックは、パルハンマー(打診棒)と呼ばれる棒を使って、タイルを一つ一つ叩き、それぞれの音を聞き分けるやり方です。この音を聞き分けるのは職人の仕事です。
タイルの浮きが激しく、剥離の危険があるタイルに限り、タイルを張り替えます。
軽いひび割れ程度では張り替えず、下地とタイルの間に樹脂を注入することで補修していきます。
気をつけなければならないこと
施工業者からしたら、タイルを張り替える量が多いほど、利益に繋がります。ゆえに、本来であればちょっとの補修で済むところを、張り替えてしまうのです。これは完全に無駄な工事といえるでしょう。
「どうせ変えるなら、微妙なものは全部変えたほうがいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それは間違いです。
タイルを無駄に張り替えてしまうと、タイルの色違いが目立ち、美観が損なわれてしまいます。
予備のタイルを取り置いていない場合、タイルの製造会社へ発注からしなければなりませんし、いくら環境の変化に強いといわれるタイルでも、年月によって劣化します。そして時間の経過によって作られた微妙な色味に、新品タイルの色をそろえることはかなり難しいでしょう。
結果として、色違いの外観になってしまいます。そのような外観になると、タイル特有の見た目の美しさや高級感も損ねてしまいます。それによって資産価値も下がってしまいます。
それに加えて、新築時につけたタイルを剥がして、新しいタイルを張りつけと、新築時よりも、タイルの接着効果が若干弱くなります。
理由としては、一度タイルを剥がすためです。最初にタイルを貼り付ける時は、接着剤も下地もタイルに合わせて固まってくれるため、長持ちします。
しかし、一度タイルを張った場所に新たにタイルを張ると下地の凸凹が残ります。その上から接着するため効果が薄れます。凹凸が残るということは、接着面も安定した状態とは言えません。
これにより、新築時に貼り付けたタイルよりも剥がれやすい状態になってしまいます。
まとめ
今回はタイル外壁に関する記事でした。
最新の素材や技術を使うと、タイルの張り替え工事はほとんど必要ないと思っても過言ではありません。しかし、事故がおきてからでは遅いので、定期的に打診調査を行ったり、大規模修繕工事を通じてしっかりと検査することが必要です。
また、可能な限り樹脂による補修を行い、無駄にタイルの取替えをしないでくれるような業者を見極めることが大切です。