アパートやマンションに大規模修繕工事が必要となったとき、どの業者に依頼するかは大きな問題です。工事を依頼できる業者はたくさんありますが、できれば実績があり、リーズナブルな業者に依頼したいと考える人は多いのではないでしょうか。
今回は、大規模修繕工事を依頼する業者の種類と、選ぶ際のポイントを徹底解説します。余計な費用を抑えて大規模修繕工事を依頼したい方に役立つ情報です。
目次
1.大規模修繕工事を依頼する業者の種類
大規模修繕工事は、アパート・マンションの複数設備を修繕する工事であり、修繕箇所は建物全体に及ぶケースもあります。
規模の大きい工事内容となるため、施工を依頼する場合は、業者が大規模修繕工事を請け負えるかどうかを考えなければなりません。
大規模修繕工事を依頼できる会社には、以下3つの種類があります。
1-1.管理会社
マンション・アパートの経営をサポートする管理会社は、物件全体の建物管理を日常的業務としています。
管理会社の本業は賃貸経営の管理業務ですが、次のようなケースであれば、大規模修繕工事を依頼することが可能です。
- 社内に大規模修繕工事部門がある
- 関連会社に施工業者がある
- 外部の施工業者と提携している
賃貸物件を常日頃から見て、建物の劣化状況や不具合箇所を把握している管理会社は、オーナーやマンション管理組合の方にとって、信頼性の高い選択肢となるでしょう。
しかし、実際に施工する会社は別に存在するため、管理会社への信頼がそのまま当てはまることはない点に注意してください。
1-2.ゼネコン
ゼネコンは、オフィスビルやマンションなどの建築を請け負っている総合建設業です。
新築だけでなくリフォームも扱っているため、マンション・アパートの大規模修繕工事も依頼できます。
ゼネコンは社内に設計・エンジニアリング・開発などの部門を抱えているため、人材や技術面で安定していることが特徴です。多くの建築工事に関わってきた企業であれば、建物の構造や仕組みを熟知しており、大規模修繕工事を安心して任せられます。
ただし、ゼネコンであっても、大規模修繕工事の経験や実績が十分にあるとは限りません。
ゼネコンに大規模修繕工事を依頼した場合、実際の施工会社は下請けや孫請けの業者です。そのため、施工を担当する下請け・孫請けの業者について、経験と実績を調べる必要があります。
1-3.修繕専門会社
修繕専門会社は、建物の修繕工事を専門としている施工業者です。修繕に関する専門知識・技術力を持っているため、アパート・マンションの大規模修繕工事を依頼できます。
修理専門業者の強みは、修繕工事について十分な経験を積んでいる点です。
修繕工事の専門家や技術者が計画から施工完了まで関わり、仕様書通りのフローで工事が進みます。自社施工であるため、修理工事の内容は小回りが利きやすく、施工主の要望にきめ細かく対応できることも魅力です。
修繕専門会社は地域に根差した経営を行う中小会社から、広いエリアをカバーしている大規模企業まで、さまざまなタイプが存在しています。規模の小さい会社は、施工時の管理能力が低いケースもあるため、依頼時は会社規模も検討してください。
2.大規模修繕を依頼する際の業者を選ぶ4つのポイント
大規模修繕工事を依頼できる会社が分かると、すぐに施工業者に発注したいと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、大規模修繕工事は建物の寿命を伸ばすための大切な工事であり、多額の工事費もかかるため、慎重に選定することが重要です。
ここからは、大規模修繕工事の施工業者を選ぶ際に見ておきたいポイントを4つ解説します。
2-1.これまでの施工実績
大規模修繕工事は、安心できる施工業者に任せたいと誰もが考えるものです。
施工業者が持っている経験・技術は、これまでの施工実績に表れています。施工実績とは、その施工業者が積み重ねてきた仕事の経歴です。
大規模修繕工事のために施工実績を参照するときは、大規模修繕工事についての施工実績をピックアップして見ましょう。
施工業者の中には、新築工事も含めて施工実績としているケースもあります。しかし、大規模修繕工事と建築では施工内容が大きく異なるため、参考にはなりません。
大規模修繕工事の施工実績が多く、年間に複数回受注できている施工業者がおすすめです。
2-2.会社の規模や経営状態
施工業者との付き合いは、次に大規模修繕工事を計画する時期である約10年後まで続きます。
施工業者が倒産して、アパート・マンションの設備メンテナンスが滞ってしまわないように、会社の規模や経営状態を判断材料としましょう。
施工業者の会社規模・経営状態の調べ方は、次の2通りの方法があります。
〇業者ホームページの確認
ホームページの企業情報や会社情報から、資本金・従業員数・設立年・沿革などを確認します。投資家向けのIRページがあれば、収益が悪化していないか等を調べてください。ただし、非上場会社の場合は財務状況を公表していないことがほとんどです。
〇企業信用調査会社の活用
業者ホームページからだけでは財務状況が分からない場合は、第三者機関である企業信用調査会社の情報を活用しましょう。企業信用調査会社は、会社を業歴・規模・資本構成・損益・資金現況といった項目で評点し、情報を表示しています。施工業者の点数を見ることで、経営状態が良好かどうかを知ることが可能です。
2-3.現場代理人の実績や能力
施工業者が大規模修繕工事を請け負うと、多くのケースで現場代理人が専任されます。現場代理人とは、会社経営者の代理として現場の施工管理を担当する、工事全体の責任者です。
大規模修繕工事において、現場代理人は次のような業務を任されています。
- 施工計画の策定
- 工程管理
- 安全管理
- 工事現場の監理
- 請負代金額に関する業務
- 顧客対応
現場代理人は、工事の各担当者をまとめ上げるリーダーシップだけでなく、作業員や顧客に対するマネジメント力も求められます。
そのため、現場代理人に実績や能力があるかは、工事をスムーズに進める上で重要なポイントです。
施工計画の打ち合わせや建物の事前調査で現場代理人に会った際は、人柄や対応力を確認しておきましょう。
2-4.アフターサポートを含めたサービス内容
施工業者のサービス内容は会社ごとに異なるため、必ず確認しましょう。
一例として、不具合・劣化調査を行うための建物診断は、コンサルティング業務を行う施工業者は自社で実施します。しかしそうでない場合は、他社へコンサルタント費用を支払い、建物診断を依頼しなければなりません。
工事中の居住者や近隣住民対応についても、施工業者によってサービスの質に違いがあります。
また、アフターサポートの質も重要なポイントです。
大規模修繕工事の完了後は、一定年数ごとの定期点検と、瑕疵保証責任による付随工事が行われます。施工業者との付き合いは、施工中よりも施工後の方が長いため、アフターサポートが充実しているかは確認が必要です。
3.大規模修繕の費用を抑えたい場合には修繕専門会社がおすすめ
大規模修繕工事の費用を抑えたい場合は、修繕専門会社に依頼することがおすすめです。
大規模修繕工事を請け負う会社の種類の中で、確実に自社施工となる会社は、修繕専門会社のみとなっています。
管理会社やゼネコンに依頼しても、実際に施工する会社は関連会社や下請け業者です。
受注業者から下請けに仕事を回すこととなるため、仲介手数料が工事費用に上乗せされてしまいます。
修繕専門会社は、自社で大規模修繕工事を施工するため、施工価格が必要以上に膨らみません。
また、業者選びで紹介した4つのポイントは、実際に工事を担当する施工会社の情報で判断する必要があります。
下請けを利用する管理会社やゼネコンでは、情報の精査ができません。その点、修繕専門会社は情報に透明性があり、業者選びがスムーズに行えるというメリットがあります。
4.まとめ
大規模修繕工事を依頼できる会社は、管理会社・ゼネコン・修繕専門会社の3種類です。管理会社とゼネコンは実際の施工に下請けを使いますが、修繕専門会社は自社施工となっています。
業者選びのポイントは4つあり、いずれも実際の施工会社から情報を精査しなければなりません。
費用面を抑えたいときは修繕専門会社がおすすめと言えます。修繕専門会社であれば、仲介手数料などの余計な経費を抑えて、大規模修繕工事を安心して任せられるでしょう。
大規模修繕工事の依頼を考えているオーナーは、ここまでの内容を参考に、ぜひ修繕専門会社への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。