大規模修繕用語集~全体編~

こんにちは。今回は大規模修繕に関わる用語集の更新です。今回の内容は主に法律や資格、流れなどに出てくる単語となります。

随時更新していきますので、大規模修繕のインデックスとしてぜひご活用ください。

大規模修繕用語集~全体編~

大規模修繕

大規模修繕は、建築基準法の第2条第14号において定義されています。本文では「主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」とされています。簡単に言うと主要部とは、壁、屋根、柱、床、梁、階段などのことで、この中で一種以上の修繕を行うことで大規模修繕となります。

工期

工事を行う期間のことです。建物の規模や傷み具合、施工内容、天気や季節などにより変動します。工期が長くなると居住者のストレスにつながります。

耐用年数

ものが問題なく耐えられる年数です。例えばマンションは60年持つとされていますが、入居後の管理やメンテナンス、外的要因などで耐用年数は推移します。いいマンションでも年月の経過とともに劣化します。劣化を遅らせるために大規模修繕を行います。

大規模修繕委員会

マンションなどの大規模修繕の時期が近づいてきたときに、管理組合から大規模修繕を中心となってすすめていく修繕委員会を結成します。簡単に言うと「大規模修繕対策本部」のようなもので、大規模修繕の施工業者選びや住民向け説明会の開催などを行います。大規模修繕は1年~2年程度前から動き始めなければ余裕を持った大規模修繕は難しいです。

大規模修繕コンサルタント

大規模修繕に関するコンサルタント業務を行う人のことです。優良な人だと知識もあり、相談に乗ってくれる管理組合様の良いパートナーとなります。会社によって内容はさまざまですが長期修繕計画の作成や大規模修繕工事の立会い、見積もり費用の監査などを中心にマンション運営に力を貸してくれるはずです。

しかし、中には談合や価格操作などを行う人もいますので、依頼する際は注意が必要です。

メンテナンス報告書

お客様の大規模修繕が完了した後に提出する報告書で、今後のメンテナンスの目安として利用する資料となります。全ての企業が作成しているわけではありません。

マンション管理組合

分譲マンションの共用部分の管理を行う組合。区分所有法により区分所有者により組合を設置することが義務付けられています。基本的に組合に入らないことはありません。年に1回以上総会を開き、予算案の作成や会計報告を行います。また管理の計画を立てるとともに理事を選出し、管理運営業務を行うこととなります。

マンション管理会社

分譲マンションなどの管理を行う会社。管理組合から委託されることが多いです。修繕積立金の管理や、長期修繕計画の作成や改定などを行います。しかし、管理会社と修繕会社の癒着などの可能性があるため、信頼関係が築けていない状態での管理の丸投げはおすすめしません。

 

長期修繕計画

分譲マンションを長期にわたって快適で安全な住まいとして維持していくためには、大規模修繕が必要不可欠になります。しかし大規模修繕は膨大なお金がかかるため、管理費とは別に積立を行います。この積立金額の目安を出すには「いつごろどの程度の工事が必要なのか」を算出しなければなりません。そのために耐用年数や建物構造などをもとに作るのが長期修繕計画です。

金銭系

共通仕様書

土木工事において共通して適用される仕様書のことです。共通仕様書には注意事項から施工、契約など記載される内容は多岐にわたります。相見積もりにおいて業者が価格を書き込む内容が決められているため、金額のみで比較する場合に重宝します。

資産価値

住まいや建物が持つ価値のことです。資産価値は主に交通の利便性(鉄道や幹線道路)や生活の利便性(公園や各公共施設、病院など)や建物の状態によって左右されます。

外的要因に左右されますし、ほとんど変動はありません。しかし、建物は上手に使っていくことで、資産価値を維持することができます。これを維持するために大規模修繕を行います。

見積書

相見積もりを行う際に参考にする金額や施工内容が書かれた書類です。数社で見積もりを行うことにより、「施工内容は適切か」「施工方法は適切か」「かかる費用は適切か」など、いろいろなことが判断できます。

修繕積立金

分譲マンションなどにおいて共用部分の大規模修繕のために積み立てているお金です。これは管理費や共益費には含まれず、別途かかってきます。しかし、大規模修繕の際には足りなくなることが多く、一時負担金として追加で各世帯から徴収することがあります。

長期修繕計画に基づいて月の積立額を決めています。

 

イニシャルコスト(初期費用)

初期に設置するためにかかる費用のこと。高いものほど比較的長持ちする傾向があります。ランニングコストとあわせるとトータルコストとなります。

ランニングコスト

使っているうちにかかるコストのことです。イニシャルコストが安くてもランニングコストがかかる場合があるので注意が必要です。イニシャルコストと合わせてトータルコストとなります。

トータルコスト

修繕費用などの一時的に支払う金額ではなく、50年~60年の間に合計してかかると思われるコスト。初期費用とランニングコストを足した金額。

 

資格編

建築施工管理技士

施工管理技士のうちの一つであり、国土交通省が管轄する国家資格です。大規模な工事(超高層ビル、大規模都市施設)や公共性のある5000万を超える建築を行う際などは有資格者を求められることがあります。

塗装技能士

技能検定の一種で、都道府県職業能力開発協会が実施する国家資格です。塗装に関する知識や実技の試験が含まれます。内容は「木工塗装」「建築塗装」「金属塗装作業」「噴霧塗装作業」「鋼橋塗装作業」の6項目で構成されています。受験資格には実務経験が求められるため、1級でしたら7年以上塗装の実績があると判断して間違いないでしょう。

マンション管理士

マンション管理組合のコンサルタントになるために必要な資格であり、国土交通省の管轄する国家資格です。マンション管理組合にアドバイスや大規模修繕のサポートを行うことができます。

法律編

法定耐用年数

減価償却をする際に参考となる耐用年数。国税庁が定めています。構造や用途別にそれぞれ定められています。平均的に鉄骨の建物は木造や木骨モルタルの倍程度となっています。ちなみに鉄骨鉄筋コンクリートマンションだと47年です。

減価償却

資産を購入した際、一度に支払いをせずに法定耐用年数に分割して処理を行うことです。

1億の鉄骨鉄筋コンクリートマンションを買った場合、法定耐用年数が47年なので1億/47となり、1年で約200万ずつに分割して処理できます。

区分所有法

1983年に定められた日本の法律。分譲マンションなどの区分所有建物に関する法律です。マンション法と呼ばれることもあります。

区分所有者

分譲マンションなどの専有部分の所有者。専有部分とは玄関のドアの内側のことで、ベランダやバルコニーは専有部分に含まれません。

共用部分

区分所有建物における誰の専有部分にも属さない場所、専有部分に属さない付属物や、駐車場など規約により共用部分と規定されている場所や建物を指します。これらは居住者や賃貸人が共有する場所とされています。主な場所は建物の躯体、バルコニー、エントランス、窓のサッシ、ドア、廊下、階段、管理人室、駐車場などが該当します。