こんにちは。
今回は修繕積立金の使い道について紹介いたします。皆さんが毎月納めている修繕積立金ですが、基本的には大規模修繕において使われます。
今までの記事で綴ってきたように、大規模修繕は買った当時のマンションの性能を維持する上で必要な工事です。
一般的に大規模修繕というと「現状維持」のイメージがどうしても消えませんが、資産価値を向上することも可能となります。
修繕積立金の使い道
修繕積立金の使い道は国土交通省によりマンション標準管理規約の28条で定められております。
1、定期的に計画を立てて行う修繕
2、不測の事故や事情によって必要な修繕
3、敷地や共用部分の変更
4、建物の売却や敷地の売却にあたる調査
5、その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
以上5つの場合です。
また、上記を用途とした借り入れの返済にも使うことができます。
定期的に計画を立てて行う修繕
定期的に計画を立てて行う修繕とは大規模修繕のことです。
建物は雨風から常に私たちを守ってくれる代わりに、ダメージを蓄積していきます。また、月日の経過とともに劣化していきます。
劣化したマンションを元に戻すには構造に関わる大規模な修繕が必要になってきます。大規模な修繕になるため、その分費用が高額になります。一時的に区分所有者に大金の請求をしなくていいように積み立てているお金が修繕積立金となります。つまり修繕積立金の使い道のメインは大規模修繕となります。
不測の事故や事情によって必要な修繕
不測の事故や事情によって必要な修繕とは、災害や事故などによって突発的に起こる修繕を指します。例えば、「地震で壁にひびが入った」「豪雨でベランダに雨水がしみてきてしまった」といった緊急の処置に使われます。
上記の2つの場合は「修繕」の中でも現状を維持する効果を求めた使い道となります。
敷地や共用部分の変更
実は修繕積立金は修繕費用としてだけでなく、共用部分のリフォームなどにも使用することができます。
詳しくは後で触れますが、こちらの工事は「現状維持」ではなく「資産価値向上」の目的で行われます。資産価値を向上することで、居住者が住みやすく快適なマンションになります。
建物の売却や敷地の売却にあたる調査
こちらの項目は建物を建て替えるときの調査費用として修繕積立金から費用を捻出することが可能ということです。
ちなみに修繕積立金は共用部分のための積立金であり、専有部分の修理には利用できません。
つまり、壁がへこんだ場合など、自分が専有している玄関のドアからバルコニーの入り口までの専有部分の修繕は基本的に別途自分で支払う必要があります。
ただし、専有部分であっても、共用部分と一体的に維持・修繕を行うことが望ましい場所(配管関係・火災感知器など)に関しては修繕積立金を使用した工事が可能となる場合があります。
「現状維持」から「価値の向上」へ
私たちはマンションの「現状維持」にかかる費用を抑えることで居住者の負担を減らすことはもちろん大切だと思います。しかし「現状維持」にかかる費用を抑えることで、余剰金を「資産価値の向上」に向けてもよいのではないかと考えます。
もちろん、快適な生活することが大前提ですので、居住者の負担になりすぎるような積立は必要ないと思います。
しかし、大規模修繕を行い元に戻すだけよりも、ちょっとした資産のグレードアップを図ることで「大規模修繕してよかったね」という声が聞こえてくるかもしれません。
バリアフリー化
高齢化社会になっている日本では各所でバリアフリー化が進んでいます。
新築のマンションだけでなく、ビルや公共施設などもバリアフリーとなっています。
大規模修繕の浮いたお金で、スロープの設置や手すりを取り付けるのもいいかもしれません。手すりがあれば高齢者だけでなく、怪我をしたときや体調が悪い時には自然と掴んでいるかもしれません。
また階段の脇にスロープがあれば、車椅子だけでなくベビーカーの移動が楽など、若い世代にとっても便利になります。
セキュリティーの向上
毎日帰る家だからこそ、セキュリティーは大切なポイントになりますよね。大規模修繕の浮いたお金で防犯のための設備をそろえるのもいいかもしれません。
現在の新築マンションでは当たり前となっていますが、オートロックや監視カメラの設置などにより、セキュリティーを強化することで居住者が安心して暮らせる場所になります。
大切な人と過ごす場所だからこそ、安心して暮らせる住まいは魅力的ですよね。
省エネ化
屋上緑化や太陽光発電を設置することでエコ対応を行うお客様もいらっしゃいます。
エコ対応としては、照明をLEDにすることで節電効果も期待できますし、マンション全体の雰囲気も変わります。
最近では断熱効果のために、開口部の改良を行うことも多くなっています。例えばガラスの2重化やアルミサッシの改良などです。これを全面的に行うには費用がかさんでしまいますが・・・。
それとは別に最近は遮熱性の塗料なども注目を集めています。
また、マンションの植栽に関して新築当時はビジュアル的な面で魅力的に見えるようにしっかりと手入れされています。しかし、時が経つにつれてだんだんと手入れがずさんになっている場合があります。緑があるのとないのでは生活していて気持ちよさが全然違いますよね。
耐震工事
基本的に現在建てられているマンションが地震によって倒壊する可能性は極めて低いのですが、30年以上前に建てられたマンションだと少し不安はありますよね。大規模修繕の費用をそちらに当てるのもよいかもしれません。
もちろん大掛かりな工事は出来ませんが、ちょっとした耐震補強なら可能かもしれません。
今回は大規模修繕で浮いたお金を資産価値の向上へ繋げていく案をいくつか紹介いたしました。
家は一生で1番高い買い物といわれています。その家をより住みやすく快適な、一生ものの資産にしていただきたいというのが私たちの思いです。
皆さんにとっての大規模修繕がよりよいものになるよう願っております。