瑕疵保険とは?加入条件と4つの種類から保証内容まで徹底解説!

瑕疵(かし)とは、建物の欠陥や住宅性能の基準を満たしていない状態のことです。物件に対する情報の格差により、不動産市場では買主が不利な立場に置かれています。不利な立場に置かれた買主を欠陥住宅から守るための制度が、この瑕疵保険です。

当記事では、瑕疵保険の加入条件や種類、さらに保証の具体的な内容について解説します。これから住宅購入を考えている人やリフォーム・大規模修繕を行う予定がある人は、瑕疵保険の内容について理解しておきましょう。

1.瑕疵保険とは

瑕疵保険とは、建物にシロアリや雨漏りなどの重大な瑕疵が見つかった際に修繕費を補償する保険です。

日本では、住宅を購入した買主を欠陥住宅被害から守るために「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」が定められています。住宅品質確保法にもとづき、建物に大きな問題があった場合は、売主である不動産業者もしくは施工業者が、購入から10年間建物の修繕を行わなければなりません(瑕疵担保責任)。

しかし、2005年に社会問題となった「構造計算書偽造問題」では、欠陥住宅を販売した売主が倒産することによって、瑕疵担保責任を果たせない現実が浮き彫りになりました。そこで、2007年に「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が定められ、新築住宅を販売する売主に加入が義務付けられた保険が、瑕疵保険です。

瑕疵保険の特徴は、原則として売主が保険に加入し、住宅に問題が発覚した場合は、保険金が売主に支払われる点です。ただし、売主が倒産などの原因で工事を行えない場合は、保険金は買主に支払われます。住宅瑕疵担保履行法では、住宅に問題が起こった際の責任を売主に求めているため、売主が責任を持って工事を行わなければなりません。その意味で、瑕疵保険は売主が負う瑕疵担保責任を補完する制度といえます。

1-1.瑕疵保険には加入義務がある?

住宅瑕疵担保履行法では、新築住宅を販売する売主は瑕疵保険に必ず加入する義務があります。売主に加入義務があるため、保険料の支払も売主の義務です。

一方、中古住宅の場合は、何らかの問題があることを認識しているうえで、その分の値引きを受けて購入するケースがあります。そのため、中古住宅の販売に関しては、売主は瑕疵保険の加入が義務付けられていません。そのため、中古住宅では、業者が任意加入する方法と個人が加入する方法があります。

2.瑕疵保険の種類とそれぞれの保証内容について

瑕疵保険は、「住宅」を対象とするものと「工事」を対象とするものがあります。対象ごとに、保険の名称や保証内容が異なることが、瑕疵保険の特徴です。ここでは、下記の4つに分かれている瑕疵保険の種類とそれぞれの保証内容について、紹介します。

住宅が対象
住宅瑕疵担保責任保険
(新築瑕疵保険)
既存住宅売買瑕疵保険
(中古住宅瑕疵保険)
建築されてから1年以内で、まだ誰も居住したことがない物件が対象の瑕疵保険。 建築されてから1年以上、もしくは誰かが居住したことのある物件が対象の保険。
工事が対象
リフォーム対象瑕疵保険 大規模修繕対象瑕疵保険
リフォーム工事を行った全ての部位が対象の保険。 マンションの大規模修繕を行った構造・防水・給排水・電気部分が対象の保険。

2-1.住宅瑕疵担保責任保険

住宅瑕疵担保責任保険(新築瑕疵保険)は、新築住宅を建てる際に加入する保険です。住宅瑕疵担保責任保険の加入は、売主の義務となるため、買主が加入する必要はありません。

住宅瑕疵担保責任保険の概要
瑕疵保険の期間 買主への引き渡しから10年間。
保証対象となる部分 柱や梁など建物維持のために重要な部分の欠陥。
雨水の侵入を防ぐ部分の欠陥個所。

新しく建物を建設した後、買主への引き渡しから10年間が瑕疵保険の対象です。瑕疵が見つかった場合、施工業者や不動産会社に修繕を請求できます。

2-2.既存住宅売買瑕疵保険

既存住宅売買瑕疵保険(中古住宅瑕疵保険)は、中古住宅を販売する際に加入する保険です。新築物件とは異なり、中古物件では瑕疵保険の加入は任意となります。

既存住宅売買瑕疵保険の概要
瑕疵保険の期間 買主への引き渡しから5年間。
保証対象となる部分
  • 柱や梁など建物維持のために重要な部分の欠陥
  • 給排水管や電気設備など、失われた設備機能
  • 雨水の侵入を防ぐ部分の欠陥個所
  • 建物状況調査・検査費用

既存住宅売買瑕疵保険は、不動産会社から中古住宅を購入した場合に該当する「宅建業者販売タイプ」と不動産会社を経由せずに取引した「個人間売買タイプ」の2種類に分かれます。個人間売買タイプでは、売主自ら保険に加入するのではなく、保証を行う「検査機関」が保険に加入することが特徴です。売主が検査機関に対して、検査と保証を依頼することで、保険に加入できます。

買主への引き渡し後に瑕疵が見つかった場合、宅建業者販売タイプでは新築物件と同様に、保険金の請求者は業者です。一方、個人間売買タイプでは、買主が直接保険者に請求を行います。

中古住宅の取引では「買主が認識したうえで購入した瑕疵」については、瑕疵保険の適用外となるため注意しましょう。

2-3.リフォーム瑕疵保険

リフォーム瑕疵保険は、住宅のリフォーム工事を行った際に加入する保険です。既存住宅売買瑕疵保険と同様に、加入は任意となります。

リフォーム瑕疵保険の概要
瑕疵保険の期間 施工後、柱や梁など建物維持のために重要な部分は5年間。
クロスなど構造上重要ではない部分は施工後1年間。
保証対象となる部分
  • 柱や梁など建物維持のために重要な部分の欠陥
  • 給排水管や電気設備など、失われた設備機能
  • 修繕に伴う転居や仮住まい費用

リフォーム後に業者の施工による欠陥が見つかった場合、リフォーム瑕疵保険が適用されます。リフォーム瑕疵保険の特徴は、欠陥が見つかった部分によって保険適用期間が異なる点です。

柱や梁、屋根など建物の構造上重要な部分の保証期間は、施工から5年間となります。一方で、クロス張り替えや収納棚の設置など、建物の維持に深く関わっていない部分は施工から1年間が保証期間です。

2-4.大規模修繕瑕疵保険

大規模修繕瑕疵保険は、マンションの大規模修繕を行う際に、任意で加入する保険です。マンションごとに建物の構造が大きく異なるため、加入保険によって補償内容が異なります。

大規模修繕瑕疵保険の概要
瑕疵保険の期間 対象部分により期間が異なる(約1~10年間)。
保証対象となる部分
  • 大規模修繕を行った部分のうち建物維持のために重要な部分の欠陥
  • 給排水設備工事や電気工事
  • 手すりなどの設置部分

ほかの瑕疵保険と同様で、大規模修繕瑕疵保険も修繕工事業者が保険に加入します。修繕部分に瑕疵が見つけられた際は、業者が保険者に保険金を請求する仕組みです。

3.瑕疵保険に加入している住宅・業者を選ぶ2つのメリット

任意加入である中古住宅の購入やリフォーム工事、マンションの大規模修繕でも、瑕疵保険に加入している業者を選ぶことで、「税制優遇」と「品質保証」という2つのメリットが得られます。

①税制優遇が受けられる場合がある
瑕疵保険に加入している住宅・業者を選ぶことで、不動産に関する税金の一部が控除されることがあります。瑕疵保険に加入している住宅に対する主な税制上の優遇は、次の通りです。

    ・住宅ローン減税制度が適用となる
    ・マイホームを売った際に譲渡所得が控除される
    ・住宅取得資金の贈与を受けた際、一定額が非課税となる
    ・不動産登記の登録免許税率が低くなる
    ・不動産取得税の税率が低くなる

不動産を購入した際に、譲渡所得税や登録免許税など様々な税負担がありますが、瑕疵保険の保証を受けている住宅には、所得控除や税率免除が認められています。少しでも住宅に掛かる税金を低く抑えるためには、瑕疵保険の保証を受けている住宅を購入することがおすすめです。

②住宅・工事の品質が保証される
瑕疵保険への加入の有無は、住宅や工事の品質を間接的に示すものです。瑕疵保険に加入するためには、建築士の資格を持つ専門の検査員による現地調査を受ける必要があります。住宅の設計や工事内容に問題があると、保険に加入できません。つまり、瑕疵保険への加入自体が、住宅や工事の品質を証明するといえます。

瑕疵保険に加入していない・加入を求めても拒む業者は、住宅や工事に何らかの問題を抱える可能性があります。信頼できる業者か否かを判断する基準の一つとして、瑕疵保険への加入有無を確認しましょう。直接業者に質問する以外にも、住宅瑕疵担保責任保険協会が運営する「登録事業者等の検索サイト」で全国から加入業者を探すことが可能です。

瑕疵保険に加入している業者が施工を行った場合、「保険契約締結証明書」という証明書が引き渡しの際に交付されます。保険契約締結証明書は、保険金を請求するために必要な書類であるため、大切に保管しましょう。

4.まとめ

瑕疵保険は、住宅の売主・施工業者が負う瑕疵担保責任を補完する目的の保険制度です。新築住宅では、2007年に売主への加入が義務付けられました。一方、中古住宅の購入やリフォーム、マンションの大規模修繕工事では、加入は任意です。

リフォーム後や住み始めてから住宅に欠陥がある可能性もあるため、瑕疵保険に加入しておけば金銭面で安心できます。新築・中古を問わず、住宅の購入は一生で最も大きな買い物となるでしょう。人生最大の買い物で後悔しないために、瑕疵保険に加入している住宅・業者を選ぶことが大切です。