防水改修工事の主な種類3つ|工事の流れ・修繕の目安も

マンションやビルなどの建物は、日々雨や風などによる影響を受けて劣化していきます。漏水による劣化は、建物の寿命を縮めるほか資産価値も下げてしまうため、不都合を発見した場合、早急に防水改修工事を行うことが重要です。

防水改修工事の必要性を感じているものの、どのような工事を行うべきか、どのような工事の種類があるのか、知らない人が少なくありません。

そこで今回は、防水改修工事の代表的な3種類の工法と、工事の流れ・目安について詳しく解説します。

1.防水改修工事とは?主な工法3つを解説!

防水改修工事とは、雨漏りから建物を守るために設置された防水層をリニューアルする工事のことです。防水改修工事には、建物の劣化を防いで資産価値を維持し、暮らしの快適性を保つメリットがあります。

防水改修工事を行う際は、既存の防水層や断熱材の状態など、どのような方法で改修するべきか調査を頼み判断しましょう。

防水改修工事の工法種類は、主に3種類です。ここでは、3種類の工法をそれぞれ詳しく解説します。

1-1.かぶせ工法

かぶせ工法とは、既存防水層の破損した部分だけを取り除き、その上から新しい防水層をかぶせる工法です。

かぶせ工法は、既存防水層を再利用しつつ新規防水層を重ねる二重形成が特徴であるため、信頼性と耐久性の高い工法といえます。近年、ビルやマンションの防水改修工事には、かぶせ工法が多く採用されています。

かぶせ工法の特徴は、下記の通りです。

工法の特徴 既存防水層の上に新規防水層をかぶせる
工期 撤去工法に比べ、工期は短く済む
騒音 騒音・振動は、ほとんど発生せずに済む
コスト 撤去工法に比べ安価である
安全性 産業廃棄物が少なく、安全性が高くなっている
新規防水層の選択肢 既存と新規における防水材料の相性を考慮する必要がある

かぶせ工法は、全体的に見てメリットの多い工法といえます。ただし、防水層の種類を自由に選ぶことはできず、新規の防水層に使う材料と既存防水層の相性を考慮する必要があります。

1-2.撤去工法

撤去工法とは、既存防水層を全面的に撤去し、新たに断水層を形成する工法です。

現在では、かぶせ工法が主流ですが、既存・新規防水層の相性によってかぶせ工法が実施できない場合に限り、撤去工法が採用されます。

撤去工法の特徴は、下記の通りです。

工法の特徴 既存防水層を全面撤去し、新規防水層を施工する
工期 撤去期間が生じるため、工期は長引く
騒音 防水層撤去の際に、騒音・振動が発生する
コスト 撤去費用、廃材処分費用が別途必要である
安全性 工事後に産業廃棄物が発生する
新規防水層の選択肢 防水層の種類を自由に選べる

撤去工法における最大のメリットは、最初から防水層を改修するため、防水層の種類を自由に選べるところにあります。ただし、デメリットも多いため注意が必要です。

1-3.機械的固定工法

機械的固定工法とは、アンカーなどの固定金具を用いて既存防水層の上から新規防水シートを屋根下地に固定する、かぶせ工法の一種です。

施工前に、保護層の強度を確認し、アンカーの固定位置を決めます。

機械的固定工法の特徴は、下記の通りです。

工法の特徴 アンカーを用いて防水シートを固定する
工期 撤去工法に比べ、工期は短く済む
騒音 アンカー固定の際に騒音・振動が発生する
コスト 下処理を行わないため、安価に済む
安全性 産業廃棄物が少なく、安全性が高くなっている
新規防水層の選択肢 既存防水層との相性を考慮せずに済む

また、機械的固定工法には、UD工法とUS工法の2種類があり、下記が特徴です。

  •  UD工法(固定ディスク先打ち)
    ディスクを固定後、防水シートと接合するため、仕上がりのデザイン性に優れている
  •  US工法(固定ディスク後打ち)
    耐風圧性に優れているため、高層階や沿岸の建物に向いている

2.防水改修工事の主な流れ|調査から竣工まで

ここでは、防水改修工事の基本的な流れについて解説します。スムーズに防水改修工事を実施するためには、工事の基本的な流れを理解する必要があります。

特に、工事を実施する前後には、いくつかの手続きや検査があるため、時間的に余裕を持って工事に取り組まなければなりません。

防水改修工事の基本的な工程は、下記の通りです。

①現場調査 施工する会社の担当スタッフが、漏水箇所や劣化状態などの現況調査を行う

②見積り 工事費用などの見積りを行い、最適な改修工事の施工方法を決定する

③ご契約 見積りに納得した場合、契約手続きを進める

④打ち合わせ 工事日程の打ち合わせを行う

⑤工事の実施 施工会社の適切な管理のもとで、工事が行われる

⑥最終チェック 工事完了後は、綿密なチェックを行う

⑦仕上がり検査 依頼人立ち会いのもとで、仕上がり状態をチェックする

⑧竣工 防水保証書が発行され、工事完了となる

工事完了後は、問題がないか品質を入念にチェックします。また、依頼者立ち会いのもとで仕上がりをチェックする場合があります。

3.【防水層別】防水改修工事の目安

防水層は、建物を守る役割からあらゆるところに使われています。雨漏りを防ぎ、ビル・マンションの資産価値を下げないために、防水層を定期的に確認し、早めの改修工事を行うことが大切です。

防水層には大きく分けて3種類あり、用途や特徴がそれぞれ異なります。

防水層の種類に関係なく、下記の劣化症状が見られた場合は、必ずメンテナンスを行いましょう。

  • ひび割れ
  • 剥がれ・ふくれ
  • 雨漏り

ここでは、各種の防水層におけるチェックポイントや、工期・耐用年数の目安について解説します。

3-1.アスファルト防水

アスファルト防水は、溶融した液状のアスファルトルーフィングとシール状のアスファルト材を組み合わせて、厚い防水層をつくる耐久性に優れた防水加工です。

標準工期 6~7日
標準耐用年数 13~20年程度
チェックポイント
  • 防水改修を行わず、13年以上経過している
  • 防水層の重ね合わせ部分に隙間が開いている
  • 床面や立面の防水層がふくらみ、水が入っている
  • 水切り部分の金物が、硬化または破断している

アスファルト防水は、耐用年数が長い工法であるため、信頼性が高いことが特徴です。学校やビルなどの屋上に適しています。

アスファルト防水の工法は、下記の3種類があります。

  • 熱工法
  • 常温工法
  • トーチ工法

熱工法は、アスファルト溶融時に熱や煙、においが発生する特徴があります。そのため、近年では、改質アスファルトを用いてルーフィングシートを貼り付ける常温工法と、トーチ工法が主流です。

3-2.シート防水

シート防水とは、塩化ビニル樹脂でできたシート状の防水材(塩ビシート)、またはゴムシートに接着剤を用いて接着させる防水加工です。

工法には、接着工法と機械的固定工法の2種類があります。

標準工期 2~4日
標準耐用年数 10~15年
チェックポイント
  • 防水改修を行わず、10年以上経過している
  • 外周の上面に亀裂が見られる
  • シートのコーナーにシワが寄っている
  • 水切り部分の金物が、硬化または破断している
  • シートの一部に虫食いのような穴が空いている

シート防水は、紫外線に強く耐候性に優れ、1枚のシートで行える簡便さが最大の長所です。また、シート防水は障害物の少ない建物に適しています。

漏水の原因とならないためには、シート同士の接合部分における施工を確実に行うことが重要です。

3-3.塗膜防水

膜防水は、ウレタン防水とも呼ばれ、液体の防水剤を塗布する防水加工です。

標準工期 5~7日
標準耐用年数 8~10年
チェックポイント
  • 防水改修を行わず、10年以上経過している
  • 全体的に白っぽく粉を吹いている
  • 防水層が削れて下地が出ている
  • 下地がひび割れ、塗膜も一緒に切れている
  • 防水層の一部が破れている

施工する床の形状・材質を問わず施工可能であるため、複雑なベランダなどの場所にも対応が可能です。また、短期間で低コストに行えることも塗膜防水のメリットといえます。

まとめ

防水改修工事の工法は主に、かぶせ工法・撤去工法・機械的固定工法の3種類です。現在の防水層における状態や既存の材料などを調査して、建物に合った工法を選ぶことが重要となります。

建物の経年劣化は避けられません。現時点で大きな問題点がなくとも、建物の老朽化を避けるためには、定期的な改修を行うことが大切です。

東京周辺で防水改修工事を検討している人は、ぜひ「株式会社栄光」へご相談ください。簡易建物診断からお見積りまで、無料で対応しております。