資金不足対策としての助成金・補助金
今回は大規模修繕の助成金・補助金について紹介いたします。
以前の記事で何度か述べているように、大規模修繕の資金不足に悩んでいる管理組合様は多くいらっしゃいます。
そうした資金不足への対処方法として、今までの記事では修繕費の節約のための大規模修繕を行う際の施工業者の再考や、工法の見直しなどによって支出を減らす方法を提案してきましたが、別の手段として条件が合う補助金や助成金を受け取るという方法があります。
管理会社や修繕会社から提案があるとは思いますが、ご自身で理解することでよりよい大規模修繕が可能となりますので、知識としておさえておくといいかもしれません。
新築に対して助成金・補助金があるように、大規模修繕に関しても各自治体によって補助金や助成金が出る例があります。
自治体ごとに制度や規約が異なるので、今回は全ての自治体の制度をご紹介することせずに一例として紹介しますが、基本的に助成金・補助金制度の傾向は多くの自治体において同様ですので、是非一度お住いの自治体のホームページをご覧いただくか、管理会社にご相談ください。
現在政府が整備している助成金・補助金の対象になる傾向がある工事は主に「耐震」「断熱」「バリアフリー」です。
※この記事は平成29年10月現在の情報です。
さまざまな助成金・補助金
マンション改良工事助成
マンションの共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化など、計画的に改良・修繕する管理組合に対し、費用の一部を助成する制度です。
マンションの適切な維持管理を目的とした助成金となります。
マンション耐震化推進事業による助成制度
地震に強い都市づくりを促進するために、マンションの耐震診断と耐震工事に対しての助成金です。昭和56年以前の耐震基準法を基に建てられたマンションの耐震化を促進する狙いがあります。
アスベストの調査費用および除去工事費用の助成制度
吹付け材などの資材にアスベストが含まれているかを調査する費用の一部を自治体が負担してくれます。こちらの制度はアスベストによる人体被害が確認されてから、多くの自治体で導入されている制度です。
調査結果によってアスベストが確認された場合は除去費用の一部を助成してくれる自治体もあります。
緊急輸送道路等沿道建築物の耐震診断補助事業
東京都では地震による避難や救急活動及び物資の輸送など、重要な輸送道路の機能を確保するための補助金です。緊急時に道路を塞ぐ可能性がある建物を対象として、耐震性の診断や改修工事の補助を行っている事業です。
高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
断熱リノベと呼ばれる補助金です。こちらは省エネ対策として断熱ガスを含んだ二重ガラスにしたり、断熱材を指定のものに変更することで、省エネルギーを実現することを目的とした補助金制度です。
指定の高性能建材を使用することと、断熱改修率を満たすことが条件となっています。
断熱塗料・遮熱塗料を使った塗装工事
自治体が指定した断熱・遮熱塗料を使用することでエコ住宅を実現するための補助金です。
最近注目を集めている、断熱塗料や遮熱塗料を使用することで、外気の温度に関わらず室内を適温にすることで、エアコンの使用量を減少させる狙いがあります。
エアコンの使用量が減れば、各家の電気代も押さえられますので、検討する価値はあるかもしれません。
詳細は必ず自治体へ
上記は例ですので、実際の募集等につきましては自治体や管理会社にご確認ください。
また、条件に資金の借り入れを前提としている制度もありますので、申請の際はご注意ください。借り入れる必要のない資金を借り入れるのは本末転倒となります。また、条件に合わせるために無駄な工事を取り入れるのも得策ではございませんのでご注意ください。
助成金と補助金の違い
助成金や補助金はよく耳にする言葉ですが、意外と大きな違いがあります。
しっかりと理解をすることで修繕費の節約や、満足度を上げる結果につながっていきますのでご紹介します。
助成金も補助金も、国や地方自治体に申請を行うことで返す必要のない資金を受け取れることに変わりはありませんが、以下のような違いがあります。
助成金・・・申請することで条件を満たしている人に限り、誰でも受け取れる資金
補助金・・・申請することで審査を行い、通過した人のみが受け取れる資金
簡単に言うと助成金は全員サービス、補助金は抽選でプレゼントや先着○名のような感覚です。もちろん、抽選などという基準が曖昧な補助金制度はほとんどないのでご安心ください。
まとめ
いかがでしたか?
補助金や助成金の調査には手間と時間がかかる作業ですし、補助金の場合は審査がとおるかどうか定かではありません。しかし、こうした手間をかけることによって修繕費を抑えることができる可能性があがっていきます。
補助金や助成金制度につきましては、年度ごとに数が限定されていたり、募集期限が変わる可能性もあるため、使用を検討する場合は事前準備が必須となりますのでご注意ください。
皆様の大規模修繕がよりよいものになるよう、祈っております。