鉄部塗装工の周期は?施工方法・費用相場から施工時のコツまで

手摺や扉などの鉄製品は、建造物のあらゆる部分に使用されています。鉄が錆びるとさまざまな悪影響が生じるため、定期的に塗装することが必要です。

鉄部分の塗装工事は「鉄部塗装工」と呼ばれています。鉄部を綺麗に塗装して長持ちさせるためにも、周期や施工方法を把握しておきましょう。

今回は、鉄部塗装工を行う周期や施工の方法、費用相場や施工時のコツを解説します。鉄部塗装工を行いたいと考えている方は、この記事を参考にしてください。

1.鉄部塗装工とは

鉄部塗装工とは、マンションやアパートで行われる修繕工事の1つであり、手すりや扉など鉄が使用されている部分の塗装を塗り替える工事です。
修繕工事においては手すりや扉といった人の手に触れる部分が優先されますが、鉄で作られた部位はすべて対象となります。

塗装が施された鉄製品は、経年劣化によるダメージを受けてしまうため、定期的な状態の確認と鉄部塗装工による再塗装が必要です。

1-1.鉄部塗装工を行う必要性

鉄部塗装工が必要とされる主な理由は、以下の通りです。

◯建造物の外観や美観を回復するため
塗装が劣化するとひび割れや剥がれが発生し、建物の外観や美観を著しく損ないます。古びた建物に見えないよう、概観・美観を回復するために必要です。

◯鉄製品を錆や腐食から保護する
鉄製品に塗装が施されている理由には、鉄部分を錆や腐食から保護する理由もあります。適切なタイミングで鉄部塗装工を行うことで、鉄素材を保護して長持ちさせることが可能です。

◯安全性を確保するため
塗料が剥がれて劣化が進むと、手に触れた際に錆が付着するだけではなく、鉄部品の耐久性が落ち安全性にも影響を及ぼします。
建造物に使用されている鉄部を安全に使用するためにも、定期的な鉄部塗装工は必要不可欠です。

2.鉄部塗装工を行う周期

鉄部塗装工の一般的な周期は約5〜6年です。しかし、近年は施工技術の向上や塗料の品質向上にともない、5年以上の耐久年数があるケースも珍しくありません。

塗料の劣化は外気や水気といった要因に左右されるため、建造物の環境によって適切な時期は大きく異なります。経過期間は目安として考えておきましょう。
また、鉄部塗装工を行うべき主な劣化症状は以下の通りです。

◯塗装の退色や変色
塗料に含まれる成分が劣化して、色が変わったり薄くなったりする症状です。劣化の症状としては軽度であるものの、放置するとさらに劣化が進行するため、塗り替えを検討する時期の目安となります。

◯チョーキングが発生している
チョーキングとは、太陽光によって塗料の表層が劣化して光沢を失い、粉が吹いたようになっている状態のことです。退色や変色と同じく、塗り替えを検討する目安となります。

3.鉄部塗装の一般的な施工方法

ここでは、一般的な鉄部塗装工の工程を解説します。工程は以下の4つに分けることが可能です。

◯ケレン
鉄部分に発生した錆を除去する作業です。鉄部品の耐久年数や塗装の仕上がりを左右するため、丁寧に作業を行わなければなりません。

◯下塗り
ケレンで磨き上げた鉄材に錆止めを塗布する工程です。鉄材の耐久性や耐用年数に影響を及ぼすため、材料の選定や施工技術が重要となります。

◯中塗り
下塗りで塗付した下地を保護するために塗料を塗る工程です。

◯上塗り
塗装の最終工程です。中塗りで塗布した塗料と同じ塗料を塗ります。

鉄部塗装工の一般的な手順は上記の通りです。次に、症状別の塗装工程を解説します。

◯チョーキングが生じている場合
チョーキングが発生している場合の塗装工事は、付着している粉末状の汚れを高圧洗浄機などで除去した後、錆止め→中塗→上塗りの手順で進めます。
難易度の高いケレン作業が不要のため、DIYでも対応が可能です。

◯塗膜や斑点のような錆がある場合
塗装面に錆が見られる場合は、完全に取り除かなければ錆が進行してしまいます。作業が難しくなるため、専門業者に依頼することがおすすめです。

手順は、ケレン作業→錆止め→中塗り→上塗りの順で作業を行います。

4.【部位別】鉄部塗装工にかかる費用相場

ここでは、鉄部塗装工にかかる費用の相場を部位別に紹介します。業者に依頼する場合の施工費用は、ほとんどの業者で材料代(塗料など)+施工工賃となります。

施工ニーズが高い部位の費用をまとめた表は以下の通りです。

鉄骨階段 8万~30万円
鉄骨フェンス 3万~10万円
鉄骨ベランダ 5万~15万円
鉄骨門扉 2万~3万円
雨戸 2,000~5,000円/1枚
鉄製ポストなど 5,000~10,000円

基本的に、足場の用意が必要となる部位や、施工の面積が大きな部位ほど金額は高額となります。また、同じ部位でも劣化の程度や使用する塗料の種類などによって、金額は変動することがほとんどです。

塗装業者に依頼する場合は金額の見積もりだけでなく、対象部位の状態と必要となる工事の内容も必ず確認しましょう。

5.鉄部塗装工を行うときに押さえるべきコツ

鉄部塗装工は、ただ塗料を塗り替える単純な工事ではありません。自身で鉄部塗装工を行う場合にはいくつかのコツがあるため、事前に押さえておきましょう。

ここでは、鉄部塗装工を行う際に押さえるべきコツを2つ紹介します。自身で鉄部塗装工を行いたい場合は参考にしてください。

5-1.飛散防止・臭い対策を徹底する

鉄部塗装工を行う際には、塗料が不要な部分に飛散しないよう注意する必要があります。塗料が飛散してしまうと、外観や美観の悪化につながってしまうためです。

マスキングテープによる養生は念入りに行い、塗装作業も吹き付けではなく、刷毛やローラーといった飛散しにくい道具を使用しましょう。
また、塗装時に発生する塗料やシンナーの臭いにも注意が必要です。臭いの発生はやむをえないため、なるべく無駄な工程を省き速やかに工事を行いましょう。

あらかじめ周辺の住民に工事日程を告知することや、窓や玄関を閉めてもらうように協力を仰ぐことも重要です。

5-2.錆落とし・錆止めは必ず手順通りに行う

鉄部塗装工には、以下のような手順があります。

ケレン→下塗り→中塗り→上塗り

塗装の仕上がりや耐久性に大きく影響するため、施工を行う際は手順をしっかりと守ることが重要です。

特に、塗装前の錆落とし作業であるケレンと、錆止め塗料を塗る工程の下塗りは、鉄素材を保護する意味がある作業です。この工程と手順を守らなければ表面上だけの塗装工事となってしまい、鉄部塗装工を行う意味がなくなることにつながりかねません。

クオリティの高い仕上がりにするためにも、鉄部塗装工の手順は必ず遵守してください。

6.より綺麗に塗装するなら業者への依頼がおすすめ!

鉄部塗装工は、必要な道具と塗料を揃えればDIYで行うことも可能です。しかし、仕上がりの美しさや塗装の耐久性などを求める場合は、施工業者に依頼することがおすすめとなります。
経験豊富な施工業者であれば、以下のようなメリットも期待できます。

  • 鉄部品と塗装の状態を見極めて、適切な時期に施工を行うことができる
  • 鉄部の錆や腐食といった、ダメージに応じた適切な処理をしてもらえる
  • 塗装後の仕上がりが美しく長持ちする

専門業者に依頼することで、美しい仕上がりを期待できることはもちろん、耐久年数も長くなります。工事費用はかかりますが良好な状態を長期間キープできるため、将来的な負担を含めたコストパフォーマンスを考えると、専門業者に依頼することが得策です。

鉄部の劣化が気になっている方は、塗装業者に問い合わせてみましょう。

まとめ

今回は、鉄部塗装工を行う周期や施工の方法、費用相場や施工時のコツを解説しました。

建物の鉄部位に施されている塗装は、外観だけではなく鉄材を保護する役割も備えているため、定期的なメンテナンスが必要です。著しい鉄材の劣化は安全性にも影響を及ぼすため、なるべく早く鉄部塗装工を行いましょう。

鉄部塗装工は個人でも行えますが、簡単な作業ではありません。現状の判断が難しい場合や、仕上がりの美しさを求める場合は、専門業者への依頼も検討してください。