大規模修繕の談合を防ぐ!悪質業者からマンションを守る方法とは

マンションの大規模修繕において、注意すべきことが業者による談合です。「マンションの修繕工事で談合なんて起こるはずがない」と考えている方も多いでしょうが、実際にはマンションの大規模修繕で、談合が起こる可能性は少なからず存在します。

大規模修繕の談合を防ぐためには、どういった状況やケースで談合が行われる可能性が出てくるのかを知っておく必要があります。
そこで今回は、大規模修繕の談合が起きるケースや、談合の防ぎ方について詳しく解説します。

1.大規模修繕の談合とは?

談合とは、入札の参加者同士で、落札者と落札価格を予め決める行為を指します。発注者が入札方式を採用する目的は、価格競争によって価格を下げることです。しかし、談合が行われていると参加者同士で決めた価格を提示されるだけとなり、発注者の意図した価格競争が起こりません。

たとえば、施工費用の適正価格が4000万円の工事で見積もりをとったとき、3社の提示価格が以下だったとします。

A社 5000万円
B社 6000万円
C社 6500万円

3社の中ではA社の提示価格が最も安いため、発注者はA社に依頼することとなるでしょう。ただし、3社の価格が談合によって決められていた場合はどうでしょうか。
A社は他社と価格競争せず、相場より高い価格で工事を請け負った形となります。安く工事を依頼したい発注者ほど引っ掛かりやすい点が、大規模修繕における談合の怖さです。

2.大規模修繕で談合が起きるケース

業者同士で行われる談合は、工事の発注者にとって見破りにくい行為です。談合が行われると、価格競争が起こらず価格が引き下げられないため、マンション居住者の積み立ててきた修繕積立金が、無駄になるおそれがあります。

談合の被害を避けるためには、談合が行われる構造や業者の手口を把握することが重要です。ここでは、大規模修繕で談合が起きる、2つのケースを紹介します。

2-1.設計コンサルタントによる工事価格の操作

大規模修繕における設計コンサルタントの役割は、修繕委員会の計画立案にアドバイスや、設計監理・施工監理などを行うコンサルティング業務です。しかし、発注者の味方であるはずの設計コンサルタントが、施工業者と裏で繋がって工事価格を操作する、悪質コンサルであるケースが存在します

設計コンサルタントが行う談合の手口は、工事価格の吊り上げです。たとえば、本来であれば4000万円が相場の修繕工事を、6000万円かかるように工事仕様書を作成します。一方で、談合相手の業者には本来の4000万円で済む工事仕様書を伝えることで、談合が成立する仕組みです。

落札できた談合相手の業者は、設計コンサルタントにマージンを支払います。マージンは工事費の20%にのぼるとも言われており、たとえば5000万円の工事費であれば、1000万円は談合のマージン分です。発注者はマージン分だけ損をしてしまいます。

2-2.管理会社と施工業者の癒着

大規模修繕は、管理業務を委託されているマンション管理会社が主導して行う場合もあります。管理組合側にとって付き合いのある管理会社に任せることは自然な流れですが、管理会社と施工業者が癒着しているケースもあるため、注意しなければなりません。

管理会社がマンションの大規模修繕を主導する場合、公募に参加する施工業者は、管理会社の紹介する業者が多くなります。そのため、管理会社と施工業者の間で行われるやり取りは、透明性が確保されていません。
参加した施工業者全てが見積もり時の価格を吊り上げた場合は、談合で予め決まっていた業者を選ぶこととなってしまいます。
吊り上げた価格との差額は、マージンとして管理会社の懐に入る仕組みです。

3.大規模修繕で談合が横行する理由

国土交通省は、2017年からマンションの大規模修繕における談合について注意喚起を行い、対策・防止に取り組んでいます。しかし、現在でも大規模修繕における談合はなくなりません。

現在でも談合が横行している理由には、以下の2つがあげられます。

●施工会社が談合を行うことに抵抗がない

施工会社は談合を行うことで、工事受注数が増えて儲けやすくなります。入札形式は確実に受注できるとは限らないため、「会社が儲けるためには仕方がない」と施工会社は談合への抵抗がありません。
談合に加わっている業者は受注が回り持ちとなるため、多くの業者は抵抗がないまま談合を続けてしまいます。

●管理組合で談合を見つけることが難しい

管理組合員はマンション住民で構成されており、工事について詳しい関係者がほとんどいません。専門的知識がないため、施工業者や設計コンサルタントの談合に気付かない・調べられないという点が、談合が横行する理由です。
大規模修繕の計画・進行を管理会社や設計事務所に頼りきると、悪質業者側にとっては談合を行いやすい環境が整ってしまいます。

施工会社の「談合を行うことに対する抵抗のなさ」と、管理組合の「業者による談合を発見することの難しさ」が相まって、談合がしやすいという状況が作られていることがわかります。

4.大規模修繕における談合の防ぎ方

大規模修繕で業者同士の談合が行われることは、発注者の大きな損失となるため避けなければなりません。見破ることが難しい談合は、どのような方法で防げるのでしょうか。
設計コンサルタント・管理会社と施工会社の談合を防ぐためには、いくつかのポイントがあります。

4-1.設計価格が妥当か確かめる

まずは、大規模修繕の予算書で組み立てた設計価格が妥当であるかを確かめましょう。設計価格が異常に高いケースは、談合が行いやすくなります。

設計価格とは、塗料・建設資材などのメーカーが提示している価格のことです。大規模修繕における予算計画では、建物診断で把握した劣化箇所と設計価格を元に、工事予算を組み立てます。決定した予算の範囲で施工会社選定が行われるため、設計価格は重要な数字です。

設計価格を高く設定すると予算が高くなり、施工会社の提示価格も幅が広がります。価格幅の広がりは、談合のマージンを挟む余地が生まれる原因です。設計価格が妥当な場合は、談合をすると価格が横並びになりバレやすいため、談合の可能性を軽減できます。

4-2.複数業者から見積もりを出してもらう

業者選定時には、なるべく複数業者から見積もりを出してもらいましょう。見積もりを出す会社が多くなると、談合によって自社が受注したいと名乗りをあげる会社が多くなります。談合の落札者はチャンピオンと呼ばれるように、1社しか受注ができません。そのため、複数業者から見積もりをとることで、談合を行う業者同士のまとまりを崩すことが可能です。

また、見積もりが多くなると、談合が行われていた場合に金額が横並びとなります。金額が横並びの状態はあからさまな談合であるため、把握が簡単です。複数の見積もりを比較して、少しでも怪しいと感じたら、大規模修繕計画を白紙に戻すことも有効な対策となります。

注意点としては、業者の応募要件を厳しく設定しすぎないようにしてください。厳しい選定条件では応募する業者の数が減り、複数業者から見積もりがとりにくくなります

4-3.信頼できる施工会社を見つける

談合を防ぐための最も有効な方法は、設計コンサルタントや管理会社とは無関係の、信頼できる施工会社を見つけることです。発注者とサポートを行う業者の関係に、第三者となる施工会社を加えることで、大きな金額が動く大規模修繕の透明性を保つことができます。

第三者の施工会社であれば、設計コンサルタントや管理会社と談合が行われる心配がほとんどありません。計画段階の仕様書についてアドバイスをもらったり、工事内容について早い段階で詰められたりと、多くのメリットがあります。

談合が行われない施工会社を探している方は、ブランコマンがおすすめです。ブランコマンは自社受注・自社施工・自社仕様書にこだわっており、大規模修繕の計画段階から発注者をサポートする体制が整っています。業界の慣習を見直して、大規模修繕における無駄な工事費用の削減に取り組んでいる、大規模修繕工事の専門業者です。

5.まとめ

大規模修繕の談合とは、入札に参加している業者同士が通じ合って、落札者と落札価格を予め決めておく行為です。談合が行われると価格競争が起こらないため、発注者は相場より高い価格で工事を依頼することとなってしまいます。

マンションの大規模修繕では談合が少なからず横行しているため、管理組合や理事会運営者の方は注意してください。本来は大規模修繕を助けてくれるはずの設計コンサルタントや管理会社など専門家が、談合を主導しているケースもあるほどです。

大規模修繕における談合の防ぎ方には、いくつか方法があります。中でも信頼できる施工会社を見つけることが、有効な談合対策です。ブランコマンのように談合の可能性がない業者を選ぶことで、適正な価格で大規模修繕工事が実行できます。