見た目だけじゃない?塗装を行う目的と塗料の選び方!

今回は塗装について詳しく解説していきたいと思います。

塗装の目的

塗装の目的は見栄えをよくすることと、建物の躯体の保護、建物の機能性の維持・向上です。

見栄え

新築の建物でも年月とともに紫外線や雨の影響で、色が薄くなっていきます。それを防ぐのが大規模修繕による塗装の役割です。色が薄くなった建物は見た目にも美しいとは言えないですよね。ゆえに塗りなおすことで見た目の美しさを保ちます。

躯体の保護

塗装の一番大切な役割は躯体を保護することです。鉄筋の建物の場合、天敵とも言えるのがサビ。というのも、金属は酸素に触れることで酸化します。そしてそれがサビとなります。その錆を塗装によって防ぐことができます。それに加えて、建物の防水機能は塗装によって保護されています。塗装を施さないとひび割れなどがおこることにより、建物の防水機能が損なわれる恐れがあります。

塗装の劣化は建物の寿命と密接に関わっているといっても過言ではありません。

建物の機能性の維持・向上

塗料は日々開発され続け、より優れた性能を備えつつあります。

建物を守るのはもちろん、今では太陽の光を反射する機能がある塗料や、汚れを浮かせてくれる機能を持った塗料など、新しい塗料が開発され続けています。そうした塗料を使うことにより、建物自体の性能の向上につながっていきます。

塗装の塗り替える時期

理想的な塗装の塗り替え時期は一般的に10年ごとといわれています。紫外線や雨から建物を守っている塗料は、時間の経過とともにどんどん効力を落としていきます。もちろん塗料の性質にもよりますが、目安としてあげられるのが10年というスパンです。

定期的に外壁を塗り替えることにより、見た目の美しさを保つためだけでなく、建物の耐用年数が増えるため資産価値も高まるのです。しかし、10年の傷みは目で見ただけで認識することは難しいです。ゆえに、「まだ大丈夫」と思い、先延ばしにする人も多くいます。

塗り替えをせずに先延ばしにして、外壁の補修を一気にやろうとすると、費用が膨大なものになることが多いです。そうならないように定期的に塗り替えをすることでトータルコストを抑えることができます。そして、建物を守りながら使っていくことができます。

 

塗装ができない環境

塗料によりますが、塗装に向いていない季節もあります。

塗料は乾燥させることで固まります。ゆえに、乾燥しにくいことが塗装に向いていない環境ということになります。

もちろん正確にできないわけではないですが、塗料を長持ちさせるためにもベストな環境での施工をオススメします。

雨の日

基本的に雨の日は湿度が高く、乾燥しにくいので塗装を行うのは避けるべきです。塗装のみを行う場合、できれば梅雨の時期を避けてスケジュールを組むのが良いでしょう。

気温が5度を下回る時

雪が降る地域や気温が氷点下になる時期は避けたほうが良いです。これも乾燥させるためです。冬の空気は乾燥していますが、気温が低かったり雪が降ったりと、天気が安定しません。また、夜露が残った状態では塗装には向かないため、避けたほうが良いでしょう。

 

もちろん何が何でも避けなければならないというわけではありません。施工管理をしっかりしていて、乾燥などを適正に管理できる業者を見極められれば、これらの時期でもしっかりとした施工をしてくれると思います。ただ、塗料の効果を最大限に生かすためには、適正な環境で施工するのが良いでしょう。

 

それぞれの季節の特徴

空気が乾燥していて、しっかりとした施工になりやすい。しかし、塗装の繁忙期のため予約を取るのが難しい。

梅雨

基本的に塗装には向いていないので避けるべき季節。雨による工期の延長も考えられる。しかし、施工業者の手が空いていることが多く、予約が取りやすい可能性が高い。

他の季節に比べたら湿度は高いが、雨の日ほどではないため十分施工は可能。しかし、施工中は窓が開けられないときや、エアコンが使えないこともあるため注意が必要。

この時期も割と乾燥していて、しっかりとした施工になりやすい。しかし、春と同じく繁忙期なため、すぐに予約を取るのが難しい。

乾燥しているが気温が低いため、他の季節と比べるとメリットはない。積雪がなければ施工も可能だが、気温が5度以下になる時間や地域、夜露などで施工が難しく、工期が延びることもある。

 

塗料の特徴

塗料にも素材によっての特徴や耐用年数が異なります。

アクリル系塗料 価格が塗料の中で一番安い。しかし、耐久性が低く、外壁などの塗装にはほとんど使われない。建物の色を頻繁に変えるのであればこの塗料を選ぶのも良いかもしれません。 5年
ウレタン系塗料 価格も安く、比較的汚れに強い。密着性に優れ、シリコンやフッ素よりも落ちにくい塗料。耐用年数が短いため、長期的な外観を維持したい人にはオススメできません。 5~10年
シリコン系塗料 現在主流に使われているのがシリコンタイプの塗料。10年以上持つ耐久性に加えて、汚れや色落ちに強く、耐久性、防カビ、防藻においても効果を発揮する塗料。住宅塗装にオススメはシリコン系。 10年~13年
フッ素系塗料

耐用年数がかなり長く、長持ちすることを第一に考えるならこの塗料がオススメ。しかし、価格は高い。

ビルや橋など塗り替えの回数を抑えたい場所に使われることが多い。塗膜も硬いため、ひび割れしやすい。

15年~20年
遮熱系塗料 比較的新しく開発された塗料。太陽の熱を反射し、室内の温度を下げる効果がある塗料。耐用年数も長く、省エネやトータルコストの節約にオススメ。シリコンやウレタンに比べると価格は高い。 15年~20年
光触媒塗料 太陽光で汚れを浮かせてくれる新しい塗料。浮かせることで雨が降った時に流してくれる。空気を浄化する機能がある。もちろん価格は高い。光が当たらない場所への使用はオススメしません。 15年~20年
ピュアアクリル系塗料 アクリル塗料の改良版。ピュアアクリルという塗料はコストがかかるが耐久性に優れている。 15~20年

現在の主流はシリコン塗料ですが、どんどん塗料は開発され続けています。ちょっと前まではウレタンが多く使われていました。建物の劣化具合や、状態などに合わせ、私たちも塗料選びを慎重に吟味しています。大切なのは工事を依頼した方も知識をつけて、工事に関わっていくことであると私たちは考えます。

単価と耐用年数について

塗料の特徴は上記の通りです。

しかし塗料は日々開発されています。単純に耐用年数に2~3倍の差が出ているのが現状です。もちろん耐用年数が高い塗料のほうが、単価は高くなっています。

単価と耐用年数、どちらを優先に塗料を選べばよいのでしょうか。

単価を優先した場合

1回の塗装は安く済みますが、耐用年数が高い塗料を選んだときに比べるとメンテナンスに費用がかかります。単純に計算したとしても、耐用年数20年に対して耐用年数5年の塗料を使うと、後者は3回塗装をしなおすことになります。1回の負担は小さいですが、トータルコストで見たら不利かもしれません。

それと別にメンテナンスを定期的に行うことで、異常が起きた場合に早い段階で発見できるというメリットもあります。建物もモノですので、建ててから全く異常がないというのは稀なことです。異常があるかないかを定期的に調べる機会があるというのは、単価を優先するメリットでしょう。

耐用年数を優先した場合

耐用年数をメインに塗料を選ぶと、一時的に金額はかかりますが、単価が安い塗料に比べて塗装回数に差ができます。ここで重要になってくるのは「塗料以外にかかる経費」です。

塗装回数が増えるということは、それに伴い足場を設置する場合、足場の仮設や業者との打ち合わせ、業者の出入りなども増えるということです。その中でも足場の仮設はかなりコストがかかるものです。

ゆえにトータルコストで50年後に安く済むということが多いかもしれません。

トータルコスト比較サンプル

大規模修繕を行う場合

大規模修繕のように、屋根と外壁一緒に塗装をしてしまう機会があるかもしれません。

ここで注意が必要なのは、同じ塗装を同じ塗料で同じ時期に行ったとしても、塗料の劣化の進行も同じとは限らないことです。

それは外から受ける刺激が屋根と外壁では差が出てしまうからです。

一般的に言われているのは、屋根よりも外壁のほうが長持ちするということです。どちらも雨風の影響は受けますが、外壁と比べたらそれ以上の被害を屋根は受けています。

同じタイミングに近くなるには、屋根の塗料をワンランク上げる必要があるのです。

まとめ

いかがでしたか?

お客様が何を優先したいかがわかれば、お客様の建物に合った塗料を提案することができます。

メリット・デメリットはそれぞれありますので、お客様自身も塗装について理解することで、より満足いただける施工に近づきます。